昨日のリーダーシップ111 [仕事]
昨日は久しぶりにリーダーシップ111の定例会に参加してきました。
昨日のテーマは「迷えるフランスの今」~なぜフランスでテロが頻発するのか。
ディスカッション・リーダーは国際政治学者で東京外国語大学教授の山田文比古さん。
山田さんは東京外国語大学教授になられる前は30年近く外交官として務められたのですが、フランス国立行政学院(ENA)に研修生として留学なさったり、パリの日本大使館勤務、フランス国際関係研究所客員研究員、フランス公使として広報文化外交を担当なさったりと、フランスと非常に関わりの深いキャリアを歩んでこられた方です。主な著書に「フランスの外交力」(集英社新書、2005年)などあり。
欧州の中でも最も多くのイスラム系移民を抱えているフランスは2015年1月のシャルリー・エブド紙襲撃事件以来、イスラム過激派に関係するテロ事件はいまだ収束する気配が見られませんが、これも簡単には解決できないようです。
フランスは1950年代の高度成長期に労働力として多くの移民を受け入れ、その内の500万人は中東からで、移民はその後仕事がなくなっても帰国しても仕事がないとフランスに家族も呼び寄せ、その結果、今では移民3世、4世と増え1,400万人はイスラム系とのこと(フランスの人口は6,000万人~7,000万人)。また毎年シリアに渡航希望者が2000人ぐらいいて、その内700人くらいがイスラム教徒。その渡航経験者がまた帰国してと、テロリストは外部者でなく、home ground terroristであり、国内にいて、フランス政府が危険人物としてリストしている人が15,000人くらいとのこと。
フランスは言動の自由ということでキリスト教に関しても風刺の漫画があるくらいだが、イスラム教に関しても風刺漫画も多く、イスラム教徒にとってムハンマドを偶像化するのは禁止されているのにムハンマドを偶像化した漫画はイスラム教への侮辱しかなく、裁判を起こしても受け付けられないという現状で、その積み重ねがCharlie HEBDO社襲撃事件の原因となったのでした。
フランス人はイスラム教は4人まで奥さんをもってもいいし武器をもっているかもしれないし、野蛮で非人道的宗教で好ましく思っておらず、イスラム教を思わせる女性が顔や体を覆う服装も違和感を感じている上に、ブルキニというオーストラリア人によって作られた体を覆った水着を禁止する場所もでき、宗教の風刺はいいじゃないと思っている。
一方、自分たちの文化を守って生活しているイスラム教徒は、イスラム風刺はイスラム教徒へのhate speechであると怒りを覚えている。
フランスは政教分離は徹底していて、表現の自由、普遍主義、共和主義であり、これはイスラム的価値観と対立しており、これがフランスがテロリストから嫌われる理由でもある。
フランス人も不景気で失業率高い中、職を移民たちに取られたり、犯罪も多い中、被害者とう思うフランス人が増えて、寛容さを失ってきていて非常事態になってきている。
ニュースには出ないけれど、頻繁に衝突があるフランスは根深い問題を抱えており、今後とも不安な状態となっているとのこと。
フランスというとファッションや料理やお菓子、ワインと明るいイメージが強く、テレビに映るのは白人ばかり。でも実際は有色人種が圧倒的に多く、旅行者でスリや強盗にあうのはフランスが多いのが現状。
報道以上にどうしようもない大変な状態になっているフランス。日本ではまだこのような宗教に関する深刻な問題はないものの、海外からいろいろな人が来る=いろいろな文化も入ってくるわけでうまくハンドリングしないと大変なことになるなとフランスの現状をお聞きし、思いました。
あちこちで禁止されているイスラム教徒用の水着「ブルキニ」の写真は左
「馬鹿に好かれるって大変ね」
(イスラム)原理主義者に悩まされているムハンマド
コメント 0