SSブログ

痴漢判決のニュースを読んで [余談]

昨日、痴漢冤罪の被害者の方が最高裁で逆転無罪となった。
私も「それでもボクはやっていない」という痴漢冤罪を通じて日本の裁判制度の現状を描写した映画を娘達と見て、「これってひどいね~」と話していたので、本当に痴漢行為をしていないとしたら、罪に問われ、休職となり、今回の場合、無罪判決が出るまで3年の月日がたち、その間、被害者及び家族はどんなに屈辱的な思い、そして憤りを感じたことかと思う。

冤罪で一人の人間の名誉や職や信頼を失わせることになった反省から、今後はより厳しく証拠の収集を求めることになりそうとのこと。

問題は「本当に痴漢行為をしている人達」!そういう人達がいるから冤罪の被害者も出る。
現に娘達が痴漢に遭うのはしょっちゅうとのこと。多いのは降りる前にさっと触れてくる痴漢。
混んだ電車で不快であってもなかなか痴漢を特定できず、不快な気分のまま登校することになる。

もう大分時間がたっているので、ブログに書いても良いと思うが、娘は痴漢をつかまえたことがある。登校中、電車の中で、痴漢の行為がエスカレートし、さすがに気持ち悪くなって、痴漢の手をがっしりつかんで顔を見て(「それでも…」の映画を見ていたから、娘はしっかりと相手と確認し、現行犯で捕まえたとのこと)「やめてください」と勇気をふりしぼって言ったら「勘違いもはなはだしいよ」と相手に言われ、次の駅でさっと降りたところを娘は泣きながら20m走って追いかけて痴漢をつかまえた。

その間、周りの人は一人の女性を除いて見て見ぬふり。痴漢に会って不愉快な思いをして、勇気を出して捕まえているのに、誰も助けてくれないという2度の屈辱。

やっと娘は犯人の鞄をつかんで駅員に犯人を差し出して、それでおしまいと思いきや警察署にパトカーで行くことになり、痴漢も別の車で警察署へ。

娘はテスト前だというのに、昼近くまで人形を用いて状況説明を行い、おまけにはいていた制服まで預けることに(逮捕後、犯人の手を調査していて、繊維片があった場合、制服と一致するか鑑定に出すとのこと。これが約1ヶ月かかった)。
救われたのは、警察署の人達が皆優しかったこととのこと。

警察官から多くの痴漢はその場では認めないが、たいていはその晩留置場に行って翌日に認めるとのこと。最悪な場合は、裁判となるが、娘の場合、手をつかんで顔をしっかり見ているし、スカートも物証として出しているので勝利は間違いないだろうとのことを言われ、遅刻して学校へ。

それが、それが、この痴漢はずっと否認し続け、6日後に娘の携帯にぶっきらぼうで強い態度の検事から、「相手の弁護人が会いたがっているから会ってほしい」との電話あり。不愉快な思いをした上、相手の弁護士に会うことなど冗談じゃないと思い断ると、母でもいいとのことで、私が検事に電話をすることに。

私は勝手に変なことを言ってしまってもと思い、弁護士の友達に相談すると「きっと示談にしたいんでしょう」とのこと。示談金になんて興味はないし、お金でどうのこうのいうのではなく、犯人に十分に反省させ、痴漢行為を二度とせず、被害者が増えないようにしたいというのが、娘と私の意見で、それを検事に伝えると、その検事は娘の話どおり、強気で感じ悪く、
検事「じゃ、フリーにしていいわけね」
私「え?何もなかったことにしてフリーですか?」
検事「じゃ、あなた処罰したいの?」
私「処罰というか、やはり何もなかったことにするのはいかがなものかと思います」

娘曰く、「心臓がバクバクしながら、痴漢を思いきって捕まえたのに、こんなに大変なことになるとは思わなかった。それで釈放とかなるのだったら何とも言えない気分」。ごもっとも。

犯人も家族がいるだろうし、その手前、否認し続けたのだろうけれど、嘘をつきながら留置場に6日間もいて、精神的には制裁を受けて、まともな人であれば二度と痴漢行為はすまいと思うと思うので、娘の行為は被害者を防ぐために貢献して素晴らしい行為だと思って娘を誇りに思った。

また数日後に検事から電話あり(今度はうってかわって丁寧な口調)、相手からの示談金(示談にすると履歴も残らず、刑にもならない)のオファーの伝言内容だったが、「国に寄付してください」と丁重にお断り。

翌日には犯人は痴漢行為を認め、刑に処するか否かは検事の手に。
検事は話し方から犯人の見方のような感じにとれたし、犯人は「初犯」とのことで(でも娘によると、なれた手つきで、娘が手を捕まえた時も全然おじけづかないし、絶対常習犯だろうとのこと)無罪になることも十分に予想された。

結果として、相手は有罪となり、30万円の罰金(初犯の痴漢行為の罰金額?)となったとのこと。検事の最初の電話の話ぶりは、いかにもこちらが嘘でも言ったり、ひどいことをしたような感じに思わすような感じでどうかと思ったが、何が真実かわからない間はきっとどちらにも肩入れすることなく、冷静に接するようにしているのだろうとの警察官の話。なーるほど。検事も大変なんですね。でも、被害者の娘とか私に話すのに、もう少し口調を変えてくれてもよかったと思うのだけれど。

それにしても何よりも一番ショックだったのは、ラッシュアワーで皆仕事に急いでいるからとは言えど、周りにいた大人が誰も味方についてくれず、知らん顔をしたこと。
こんなことアメリカだったらないな~。きっと多くの乗客が被害者に味方になって一緒に犯人を捕まえてくれるだろうなと心悲しく思った。

「かかわらないのがベスト」というのもわかるが、相手は女学生で、風貌からして娘は不良でもないし、どんな思いで痴漢を現行犯でつかまえたかも考えて周りの大人にサポートしてもらいたかったものだと思った。何かこういった意味でいろいろと考えさせられた一件だった。

痴漢は常習性があり、同じ人が何度も捕まる傾向にあるとのこと。
今回のニュースで、面倒になって痴漢の犠牲者が痴漢を捕まえることがなくなって、痴漢常習犯がいい気になって痴漢行為をしなければいいのだけれど。



この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。